「無料フェスは治安が悪い」
そんな声が聞こえてくることもある。
けれど、2026年のフリーダム名古屋を駆け抜けた2日間、私の目の前に広がっていたのは、間違いなく「音楽を愛する人たちの、優しさと熱狂が詰まった最高の景色」だった。

【1日目】もはや夏。森林のような大高緑地で知った「自由の意味」
待ちきれなくて、前夜から車中泊で前乗り。
今回、直前に導入した無印良品の扇風機が、さっそく大正解の相棒になってくれた。
快適な夜を過ごし、朝8:15に有松駅を出発。
会場までは徒歩で向かう。
一歩踏み出した瞬間から、空は雲ひとつない快晴。
というか、もはや夏だ。
たどり着いた大高緑地公園は、くっっそ広い。「公園」というより、森林。
入場制限のないフリーフェスということもあって、中に入ると人、人、人!

この広大な敷地が、音楽好きで埋め尽くされている。
ずらりと並んだフードブースの数にも圧倒され、「どれを食べようか」と本気で頭を悩ませる。
スカダンで舞う砂煙、KUZIRAが鳴らした自由
メイントッパーはFive State Drive。
初手のスカパンクなんて、最高に決まっている。フリーダムのメイン会場後方は砂地仕様。
小気味いい裏打ちのビートに合わせてステップを踏むたび、足元から砂煙が舞う、舞う!
おそらく、この日一番の砂煙が上がっていたんじゃないだろうか。
一瞬で身体に火がついた。
続いてステージに登場したのは、KUZIRA。
ボーカル末武さんのTシャツには、「Free」の文字。
MCで彼が放った言葉が、深く胸に刺さった。
「自由って、選択できることだと思うんですよね」
まさに、このフェスを象徴する言葉だった。
最前列でガッツリ音に飛び込むのも自由。
後方の木陰で踊るのも自由。
フェス飯を巡るのも、お昼寝するのも自由。
遊びたい時に遊び、食べたい時に食べ、休みたい時に休む。
服装だって、ロックフェスガチ勢からラフな格好の人まで十人十色。
それぞれが「自分の心地よさ」を選択して、音楽を楽しんでいる。

私も途中で休憩を挟む。
レジャーシートにゴロンと寝転びながら、ステージから聴こえる音楽に耳を傾ける。
木陰に入ると、すうっと涼しい風が吹き抜け、心地がいい。
歌唱力、ダブルピース、そして客席の上の狂気
もちろん、のんびりしているだけでは終わらない。
1日目の目撃談は、どれも濃すぎた。
JapanesePRIDE
**「名古屋でジャパプラいい感じ!」**とみんなでコール。
身振り手振りで踊って楽しかった。
SIX LOUNGE
ユウモリさんの圧倒的な歌唱力に、ただただ息をのんで聞き惚れる。
どこまでも伸びる声は、広い緑地の空気を一瞬で支配していくようだった。
Copes
『WINNER』に合わせてみんなでダブルピース! あのハッピーで弾けるような盛り上がりは、体中のアドレナリンをこれでもかと引き出してくれた。
サブステージのDay.1のトリは
ビレッジマンズストア
客席上で演奏するギターとベース。
「人の上で演奏できるの凄すぎん!?」
ゲストボーカルにワタナベシンゴさんを迎え、1日目は熱狂の渦の中終了した。

【2日目】ダイブ、衝動、そして歴史が動いたヘイスミの大トリ
2日目も、容赦ない快晴。
天気予報は最高気温30度。
完全に真夏だ。
トッパーのバックドロップシンデレラから、エリアの温度は一気に沸点へと達した。
なんと1曲目から、客席に向かってダイブが巻き起こる。
1曲目からだ。
一気にテンションが跳ね上がる。
気がつけば、パンダまで一緒にダイブしている。
「ああ、フェスに来た。私、いま生きてるーー!」
ステージの一番高いところに駆け上がったり、次のMakiのステージまで突っ込んでいったり、バクシンの自由すぎるステージングに、朝から心を完全に持っていかれた。
RED SPIDERは、かなり刺激的だった。
わたし、人生で初めて中指を立てました。
普段、社会の中で「いい人でいなきゃ」「悪いことしちゃダメ」と、みんな無意識に自分を押し殺して生きている。
けれど、爆音の中でディスを食らいながら「そんなの関係あるかーー!」と心の中で叫んだ瞬間、抑え込んでいた自分が一気に解放された気がした。
PUFFYは、とにかくもう、信じられないくらい可愛かった。
衣装も素敵で、顔が驚くほど小さくて、まるでお人形さんがステージで歌っているかのよう。
あの、気負わずにゆるっと肩の力を抜いた佇まいと空気感が、たまらなく好きだ。
圧倒的な覚悟。猪狩さんが示してくれたもの
そして、いよいよ大トリ。
音楽のバトンはHEY-SMITHへと繋がれる。

実はこれまで、フリーダムナゴヤの大トリは、東海出身のアーティストが務めるのが定例だった。
それを覆して大阪のヘイスミスがトリを務めることには、事前に賛否両論もあったらしい。
私はヘイスミが大好きなので、ただただトリを飾ってくれることが単純に嬉しかった。
フェス直前、主催者のワタさんと、ヘイの猪狩さんの対談インタビューを読んだとき、胸が熱くて仕方がなかった。
ヘイは2年目から出演してて、途中出ない時もあったけど、今年で8回目。
ずっとこのフェスを支えてきた仲間なんだと思う。
ワタさんのフリーダムに懸ける熱い想いと、それを受け止める猪狩さんの男気、仲間を大切にする絆。
ふたりの約束を知ったとき、「ヘイスミが大トリで、文句なんかあるわけない!」と確信した。
対談はこちら👇
SATANIC ENT. 対談記事
ライブ中のMCでも猪狩さんはそのことにも触れた。
「東海出身がトリをやるっていう縛りがなくなった上で、東海出身のアーティストがトリをやった方がかっこええやん」
その言葉の通り、ステージの上の彼らは、理屈抜きで圧倒的にかっこよかった。
フリーフェスのマナーとルール
実は前日、会場内での盗撮行為がSNSで話題になっており、2日目は少しハラハラする空気もあった。
ヘイのライブでそれをやったら、猪狩さんはガチでキレて演奏を中止にするかもしれない。
もし演奏中止になればみんな悲しいし、一番悔しいのはアーティスト本人だ。
それでも、これからもこのフェスが良いものであり続けるために、これからのアーティストのために、「やっちゃいけないことには、身を呈してでもきちんと怒る」。
それを示してくれるのが猪狩さんという男かもしれない。
なんて私なりに解釈しながら複雑な気持ちで出演を迎えた。
しかし、そんな心配は演奏が始まった瞬間吹き飛ぶ。
あっという間に圧巻の13曲を駆け抜けていった。
もちろん鳴り止まないアンコール。
再登場したとき、猪狩さんは、ニコニコの笑顔でこう言ってくれた。
「オレももっとやりたいー!」
その瞬間、胸がすうっと軽くなって、幸福感が押し寄せた。
主催者でもないのに、「ああ、今年のフリーダムは大成功で終わったんだ」と、心の底から実感できた。
泥臭くて、優しくて、愛おしい現場の真実
無料フェスだから治安が悪い、ルールが守られていない。
確かにそれは一理ある。
禁止されているテントや日傘、缶類の持ち込みは、私もたくさん目にした。
ステージに物を投げるような行為は、絶対に許されるべきじゃない。
だけど、私の周りにいた人たちは、みんな純粋に、めいいっぱい音楽を楽しんでいる人ばかりだった。
モッシュの中で押されて倒れたときは、周りがすぐに「立って!立って!頑張って!」と声を掛け合い、一瞬で引き上げてくれた。
靴が脱げてしまったら、すかさず拾って高く掲げてくれた。
(迷惑かけてばかりやな私🥹)
逆に、解けた靴紐を結ぶためにしゃがむ人がいれば、周りの人たちが自然と手を広げて、その人が人の波に潰されないように壁を作って守った。
みんなで大合唱して、
『Inside Of Me』では大きなサークルを作って踊る。
全然知らない人と笑顔で肩を組んで、ステップを踏む。
そこにあったのは、冷たい治安の悪さなんかじゃない。
音楽を通して繋がった、不器用で温かい現場の愛だった。
本当に素敵なフェスで、正直お金を取ってもいいと思う。
けれど、無料だから意味を持つ事もある。
だからこそ、これからもマナー良く、この素晴らしい場所が続いていってほしいと、一人の参加者として切に願う。

スマホが死んだフェスの洗礼
大満足で幕を閉じた2日間だったけれど、ひとつだけ、最大のダメージがあった。
それは、**「現地でスマホが完全に使い物にならなくなる」**ということ。
・電波が混雑しすぎて、スマホ決済は全滅。
→そんなもの「現金」を持っていけばいい。
・友達とも連絡がつかなくなる。
→「お互い生きてりゃよし!」としよう。
逆にスマホなんか忘れてライブに没頭すればいい。
本当に辛いのはそこではない。
問題はアーティストの最新情報がリアルタイムで追えないことだ。
フェスが終わって、電波が復活した後にSNSを見て驚愕する。
「えっ、あのブースにメンバー来てたの!?」
終わってから知った……行きたかった、見たかった、大ダメージ……!!
後からアップされるアーティストたちの写真を見ながら、「あれも見たかった、これも見たかった!」と贅沢な悔しさに悶絶するのも、またフリーダムの洗礼かもしれない。
日常という「自由な選択」の場所へ
日常の中で、私たちは無意識に「ちゃんとした自分」や「いい人でいる自分」を保とうと、少しずつ肩に力を入れて頑張っている。
けれど、あの広大な緑地の中で、爆音を浴びて、泥臭い優しさに触れて、大好きな音楽に身を委ねたとき、抑えていた自分が一気に解放されて、心の底から「生きてる」って実感できた。
張り詰めていた心の糸が、音楽の余韻と一緒に優しくほどけていくような、そんな特別な2日間だった。
スマホをポケットに叩き込んで、目の前の爆音にすべてを委ねた時間。
砂埃まみれの靴と、胸がいっぱいになるほどの余韻を抱えて、私はまた、それぞれの日常という「自由な選択」の場所へ戻っていく。
“FREEDOM NAGOYA 2026”
今年も最高の2日間をありがとう!


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