香川で食べた、あの骨付き鶏が忘れられない。
「県内にもお店があるらしい」と聞きつけて、
日曜日の朝、意気揚々とハンドルを握った。
天気は快晴。
お気に入りのプレイリスト。
最高のドライブになる――はずだった。
現実は、残酷だった。
走り始めて1時間ほど経ったころ、
突然、車の様子がおかしくなった。
助手席のおやびん(彼)と、無言で顔を見合わせる。
エンジンは回っているのに、ギアが入らない。
少し進んでは止まり、また少し進んでは止まる。
しかも、1車線で路肩もほとんどない場所。
「なんで? なにこれ? どういうこと?」
車に詳しくない私は、完全にパニックだった。

ギアが入らない
とりあえず保険屋さんに電話。
レッカー車の手配はしてくれるらしい。
ただし、「人は乗せられない」という無慈悲なルール。
つまり、交通費は出すから、そこからは自分たちで帰ってね
ということ。
駅まではかなり遠い。
となると、タクシー一択。
……で、問題はここ。
その日、私たちはワンコを連れていた。
公共交通機関、使えないじゃん。
「どうしよう……」と途方に暮れた私を救ったのは、
知り合いの車屋さんの「一緒に乗って帰りなよ」という一言だった。
レッカー車に、私と犬とおやびん。
シュールすぎる光景だけど、
あの時の安堵感は、たぶん一生忘れない。
これが、昨日のお昼の出来事。
まだ3ヶ月だった
この車は、中古で購入してまだ3ヶ月。
日本車で、走行距離は8万キロだった。
前に乗っていた車は、15年で15万キロ。
特別に手入れをしていたわけでもなく、
定期的に車検を通していただけだけど、
大きな故障は一度もなかった。
「日本車で8万キロなんて、人間でいえばまだ働き盛り。」
そう、信じていたのに…
保証は1ヶ月だけ。
延長保証をつける選択肢もあったけど、
県外まで買いに行ったこともあって、今回は見送った。
まさか、
買って3ヶ月でオートマが動かなくなるなんて、
想像もしていなかった。
壊れたこと自体よりも、
「買ったばかり」という事実のほうが、
心にずしんときた。
まだまだ、この車と一緒に走りたいのに。
中古車は、運の要素が大きい。
頭では分かっていたつもりだったけど、
実際に当たると、やっぱりしんどい。
骨付き鶏には辿り着けなかったけど
レッカーしてもらって、
修理工場で代車を借りて、
とりあえず動ける状態にはなった私たち。
ランチに行くつもりで、
朝、家を出たはずなのに。
故障やら手配やらで、
気づけばもう14時。
お腹はぺこぺこ。
骨付き鶏はあきらめて、
「感動の肉と米」へ行くことにした。

1100円でお肉が食べられて、
とにかくコスパがいい。
今日はもう、これで十分。
そのあと、ショッピングモールと釣具屋を少しだけ回って、
帰りにスーパーの半額セールで、
1000円分ほどごはんを買って帰宅。
悪くない一日

おやびんとは、
ごはんの時間に一緒にアニメを見るのが日課。
この日は、待ちに待った
『葬送のフリーレン』2期。
……やばい。
良すぎて、震えた。
朝は車が壊れて、
予定は全部崩れたけど。
「今日さ、3000円ちょいで
こんな満足感ある一日、やばくない?」
って2人で言い合って、
気づけば、穏やかな一日になっていた。
人生は、思い通りにいかないことばかり。
でも、好きな人と、好きなものを食べて、
好きな作品に浸る時間は、ちゃんとここにあった。
車は壊れたけれど、
私の「幸せの基準」を再確認できた、
悪くない一日だった。


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